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EFSA(欧州食品安全機関)によるBPAなどの非単調用量反応(NMDR)に関する意見書


BPAなどの内分泌かく乱物質ではないかと疑われている物質の安全性試験結果の解釈について、米国FDA(食品医薬品局)やEUのEFSAと一部の大学の研究者の間に大きな差が生じています。その差が生じる主な原因は、非単調用量反応(NMDR:Non-Monotonic Dose Response)を認めるか否かにあります。FDAやEFSAなどの食品衛生を所管する官庁は、用量が小さくなるに従い有害性は弱くなる、すなわち、用量反応は単調であると考えています。これは伝統的な毒物学の概念でもあります。一方、vom SaalやVandenberg などの研究者は、高用量で有害性がなくとも低用量で有害であることもある、すなわち用量反応は単調でない、したがって、安全な閾値は求められないと主張しています。そこでEFSAは、これまで報告されている安全性試験報告にNMDRが観察されるか、またリスク評価にどう反映するかについて検討を行ってきました。その結果が2021年10月20日に意見書として公表されました。




 EFSAはこの検討を2段階で行っています。第1段階では、視覚的、統計的な観点から6つのチェックポイントを設け、それらに適合するかによってNMDRである可能性の強さを判断しました。BPAに関しては、最大でも4つのチェックポイントに適合する報告があるだけで、NMDRが生じている可能性は低いと結論しています。
 第2段階では、第1段階でNMDRの可能性が比較的高いとされた文献と、その後に公表された研究報告について、生物学的妥当性の観点からNMDRが観察されるか否かを検討しました。BPAについては、試験結果に一貫性がないこと及び生物学的妥当性が認めづらいことから、明確なNMDRは認められないと結論しています。




 今回のEFSAの意見書で、BPAについてはNMDRが観察される可能性が低いと結論されたことにより、EFSAが現在検討中で来年(2022年)に公表が予定されているBPA安全性評価の改訂版でも、従来の評価と大差ない結果になると予想されます。




  なお、EFSAの意見書は、以下から入手可能です。 Opinion on the impact of non‐monotonic dose responses on EFSA′s human health risk assessments | EFSA (europa.eu)

Copyright The BPA Safety Committee of Japanese Manufacturers (BSCJM)